前回ではどのタイミングで入浴・睡眠するのが良いのかにも焦点を当てて正しいお風呂の入り方について解説しました。
軽くおさらいすると、以下の5点でしたね。
- 夕食後1時間以上空けてから入浴すること
- お湯の温度は38~40℃
- 肩までしっかり浸かる全身浴
- 入浴時間は15分(無理なら最低でも10分)
- 入浴後1~2時間くらいに寝ること
ただ前回では入浴前後に何をすると良いのかダメなのかについては触れてなかったので、今回は「入浴前」に焦点を当てて解説していきたいと思います。
入浴前にやると良いこと
入浴前にやると良いことは下記の3点になります。
- 水分補給
- 脱衣所・浴室を温めておく
- かけ湯をする
どれも簡単なことなので、是非取り組んでみてください。
水分補給
人の体質や入浴時間・温度にもよりますが、入浴すると失われる水分は500~800mlくらいと言われているので、水分補給は欠かせません。
特に冬は夏に比べて喉の渇きを感じにくいため、隠れ脱水状態になることがあるので注意が必要です。
以上のことから入浴前後に合わせて500~800ml程度の水分を摂るように意識しましょう。
入浴前だと最低でもコップ一杯(200ml)の水分は欲しいところですね。
それでは摂取する水分は何が良いのかというと、一番のオススメは「ミネラル入り麦茶」です。
その理由は、汗と一緒に失われるミネラルを補給できることはもちろん、無糖でカフェインを含まない点、さらには血流改善効果があるためです。
次にオススメなのが「牛乳」です。
牛乳には熱中症や脱水症状の予防に効果があるため、牛乳を飲むのを習慣化することで入浴中の脱水症状・のぼせ対策として効果を発揮してくれます。
脱衣所・浴室を温めておく
入浴するにあたって注意したいのは「脱水症状」や「のぼせ」、「ヒートショック」です!
脱水症状やのぼせについては知ってる方も多いでしょう。
先ほどの項目の水分補給をすることや長風呂をしないことで防止できます。
ではヒートショックとは一体どういったものなのでしょうか?
ヒートショックとは、急な温度差が体へ刺激を与え血圧が急激に変動し、失神・心筋梗塞・脳梗塞など体への悪影響を引き起こすことを指します。
入浴での死亡者は交通事故よりも多く、そのほとんどがヒートショックによる影響だと推測されています。
冬の時期、暖房のない脱衣所は強烈な寒さが交感神経を刺激し急激に血圧を上げ、さらに入浴中の熱により血圧が上昇してしまうことでヒートショックの引き金となっているようです。
そのため冬になると入浴で亡くなる方が多いと言われています。
私のブログの読者は若い方が多いと思うので、入浴中に死の危険を感じることはないほぼないでしょう。ただここで注目すべきは「自律神経」です!
入浴から睡眠へ至るまではなるべく交感神経を刺激したくないので、入浴前の時点から脱衣所・浴室は温めるようにしましょう。
では脱衣所・浴室の温度は何度がよいのかというと、目安としてはリビングとの温度差を5℃未満にするのが理想的です。
なので脱衣所はなるべく前もって温めておいたほうがよいでしょう。
ちなみに浴室は服を脱ぐ直前くらいにシャワーを出していれば十分温めれます。
かけ湯をする
冬の寒い日だと浴室に入って早々にお湯に浸かりたくなる気持ちはわかります。
ただ前述した通り交感神経を刺激したくないので、せめてかけ湯やシャワーで体をならしてから入浴するようにしてください。
入浴前にやるとダメなこと
入浴前にやるとダメなことは下記の2点になります。
- 飲酒
- 運動・トレーニング
飲酒がダメなのは想像つきますが、運動もダメなんですね!
飲酒
酔っ払うほど飲んで入浴するのは色々な事故につながるのが容易に想像できると思います。
だったら酔っ払うほど飲まなければ入浴しても問題ないかというと、そういう訳にもいかないのです。
入浴前の飲酒がダメな理由としては、脱水状態になりやすいからです。
脱水状態になりやすい理由としては以下の2点になります。
- アルコールに利尿作用があること
- アルコールを分解する際に水が必要となること
実は脱水状態になりやすい以外にも下記のような懸念事項もあります。
- 飲酒で血流が良くなり、入浴の温熱作用でさらに血流が良くなるため体への負担が大きい
- 入浴中の発汗により脱水が進み、血中アルコール濃度が高まって酔いが加速してしまう
こうやって見ると飲酒と入浴は相性が悪そうですね!
ただ私が言いたいのは飲酒が全くダメというわけではありません!
夕食時にビール1缶くらい飲むこともありますよね。
なので正しい知識をもって、どう飲酒と入浴と付き合っていくべきか考えてみました。
お酒に関するデータを下記に挙げたので参考にしてください。
- 1Lのビールを飲むと約1.1Lの水分が失われる。
- ビール1缶(350ml)分のアルコールを分解するのに約2~3時間かかる。
- ビール1缶(350ml)分の血中アルコール濃度のピークは約30分で、それ以降は下がる。
このデータから予想以上に水分が失われるのと、大したアルコール量じゃなくても分解するのに時間がかかるのがよくわかるかと思います。
このデータを元に私が導き出した結論は以下となります。
- 飲酒後最低でも2時間以上は空けて入浴すること。
(どうしても時間を確保できない場合は1時間でも可、もしくはシャワーで済ます) - お酒1杯に対して、1~2杯以上の水分を入浴前に補給すること。
お酒が好きでどうしても泥酔したい場合は、入浴はせずシャワーだけで済ますようにしてください。
また入浴前には飲酒せず、入浴後1時間くらい時間を空けてから好きなだけ飲むという方法もありです。
ただその場合、睡眠の質は間違いなく下がるので、その点はご了承ください。
運動・トレーニング
日頃の運動不足を解消するために夕食後に運動する方も多いでしょう。
そして運動と入浴は相性が良く、入浴が運動後の疲労回復に効果があるからです。
あれっ、入浴前の運動はダメなんじゃないの?
なぜ運動やトレーニングを入浴前にダメなこととして取り上げたかというと、運動直後の入浴だと疲労回復効果が望めないからです!
運動して汗をかいたら、すぐに風呂に入ってスッキリしたい気持ちはよく分かります。
確かに汗かいたらすぐお風呂に入りたくなりますよね。
私自身もよくやっていたので気持ちはよくわかりますが、よくよく調べてみたら運動直後の入浴は疲労回復を阻害する可能性があるのです。
- 筋肉の回復を妨げる
- 脂肪燃焼効果が弱まる
【①についての解説】
運動直後の体内は、動かした筋肉に血液を集中させ、酸素や栄養素の運搬や老廃物の回収効率を上げようとします。
ただし運動直後に入浴すると血液は皮膚表面に集まってしまい、筋肉の回復作業を妨げる恐れがあります。
【②についての解説】
脂肪分解酵素である「リパーゼ」の働きが低下することで脂肪燃焼効果が弱まることを意味しています。
リパーゼは運動開始後20分くらいで活性し、運動終えた後30分くらいはその働きが続きます。
そして運動直後に入浴することで体温が上がり過ぎてしまうとリパーゼの働きが低下し、脂肪燃焼効果が弱まってしまいます。
痩せるために運動している人にとっては、たまったもんじゃないですね。
以上のことから運動直後の入浴は避け、運動後30分~2時間空けて入浴するのが望ましいです。
またお湯の温度もぬるめの38℃が望ましいです。
まとめ:入浴前にするべきこと・注意点
かなり長くなってしまいましたが、今回の要点は以下となります。
①水分補給
②脱衣所・浴室を温めておく
③かけ湯をする
【飲酒した場合】
①飲酒後2時間空けてから入浴すること
②お酒1杯に対して、1~2杯以上の水分を入浴前に補給すること
【運動した場合】
①運動後30分~2時間空けて入浴すること
②お湯の温度はぬるめの38℃
正しい知識を身につけてお風呂を上手に活用しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます。最後にこの記事を作成するにあたって参考にした著書・サイトを載せて締めたいと思います。