いきなりですが、「毎日のように湯舟に浸かる習慣がある」という国は世界中で日本だけだというのはご存知でしょうか?
恥ずかしながら私は知らなかったです。
海外ではバスタブは設置されてても、あくまで体を洗うためのスペースであり、お湯を溜めて湯舟に浸かるということまでは習慣化されてないようです。
ただ海外製の入浴剤とかもあるので、全く湯舟に浸からない訳ではなさそうですね。
私達日本人にとって何となく日常生活の一部として溶け込んでいる「お風呂」ですが、果たして本当に毎日入る必要があるのか疑問が湧いてきました。
入浴に関してどんなメリットや効果が得られ、果たしてデメリットはあるのか掘り下げていきたいと思います。
一応補足ですが、「お風呂」=「入浴」=「湯舟に浸かる」と捉えてください。
入浴する目的
入浴する目的は人それぞれあると思いますが、一般的なものを挙げていきます。
- 汗や汚れを落として清潔にする
- 疲労回復
- 体を温める
- リラックスする
- ぐっすり眠る
- 眠気を覚ます
- 美容
ざっとこんなもんでしょうか。果たしてその目的通りの効果が得られるか、次の章で入浴のメリットや効果について詳しく解説していきたいと思います。
入浴のメリット
昨今では「入浴」に関する研究が進み、入浴の健康作用は医学的にも明らかになっています。
それでは今のところ明らかになっている代表的な健康作用(メリット)を紹介していきます。
※本や文献など様々な健康作用に関する情報がありましたが、「健康」に関することなので厳選して確実に効果が見込めるものだけをピックアップしました。
温熱作用
湯舟に浸かることによって体が温まれば、皮膚の毛細血管が拡がり血流が良くなります。
そうなることで体中に血液が巡るようになり、新陳代謝が高まり体内の老廃物や疲労物質が取り除かれ、疲労回復やコリ・痛みがやわらぎます。
また温めることで神経の過敏性を抑える効果もあり、神経痛などの慢性的な痛みをやわらげます。
前回の記事でも出てきた内容ですね。
ちなみに炭酸系入浴剤を用いることで温熱作用の効果はさらに増します。
バブ・バースなど炭酸系入浴剤の効果と正しい使い方静水圧作用
目安として水深1mでは1㎝あたり100gの水圧がかかります。
水深が大きい(長い?)ほど高い水圧がかかる訳ですが、これはお湯であっても同じ作用が働きます。
身体を水圧でしめつけることでマッサージされたような状態になり、血液の流れを良くします。
それにより手足に溜まった血液が押し戻されて、心臓の働きが活発になり、血液の流れやリンパの流れを良くします。
わかりやすい効果としては、足などのむくみを解消してくれます。
浮力作用
水の浮力作用により、水中では体重が1/10程度にまで減少します。
湯舟でも同じ作用が働き、重力からほぼ解放されることにより日々体重を支えている筋肉や関節を休ませることができ体全体の緊張をほぐすことができます。
わかりやすく簡潔に説明すると、精神的なリラックス効果というよりは、肉体的なリラックス効果があるといった感じでしょうか。
余談ではありますが、私はこの浮力作用を利用して湯舟で頭を浮かせて天井を見ながらボーッとする時間を作っています。
ゆるめの瞑想みたいな感じでやっています。
首や肩が凝りやすいので、頭を浮かせてると肩の力が抜けて、よりリラックスできる感じがして気に入ってます。
よかったら一度試してみてください。
睡眠の質を高める効果
簡単に言うと、正しいお風呂の入り方をすることで自律神経のスイッチを副交感神経が優位になるように切り替えることで睡眠の質を高めることができます。
これだけではさすがに説明不足なので、自律神経についても説明します。
自律神経には「交感神経(闘争神経)」と「副交感神経(癒しの神経)」の2種類あり、脳(視床下部)が状況に応じて自動的に自律神経を調整しています。
わかりやすい言い方だと、交感神経が優位になると興奮状態にあり眠りづらくなってしまうので、お風呂で副交感神経が優位になるように切り替えてあげれば眠りやすくなるよねっていう話です。
ただ入るだけではもったいない!疲労回復・熟睡するためのお風呂の正しい入り方交感神経を優位させるお風呂の入り方をすれば、眠気を覚ますことが可能です。
睡眠の質を高めるには、体内時計や体温も大きく関わってくるので本当はもっと色々と説明しないといけないのですが、今回は割愛させていただきます。
入浴のデメリット
ここまで入浴のメリットを述べてきましたが、果たしてデメリットはあるのでしょうか?
結論、正しいお風呂の入り方をすればデメリットはないでしょう!
しいて挙げるなら「時間がかかること」でしょうか。
ただ注意点として、間違ったお風呂の入り方をすればデメリットだらけになってしまうかもしれません。
考えられるデメリットを下記に挙げてみました。
- のぼせる(入浴熱中症)
- 疲れる
- 寝付けない
- 湯冷めで風邪をひく
- ヒートショック(血圧の急上昇)
ヒートショックは命の危険もあるので本当に注意したいところです。
では何が正しいお風呂の入り方で、何が間違った入り方なのか気になるかと思いますが、それは下記の記事にてまとめましたので参考にしていただければ嬉しいです。
ただ入るだけではもったいない!疲労回復・熟睡するためのお風呂の正しい入り方入浴する時間はもったいないのか?
先ほど入浴のデメリットは「時間がかかること」と言いました。
現代人は忙しいということをよく耳にしますし、「時間が大切だ」と主張する方も多々いらっしゃいます。
なのでどうしても入浴の時間はもったいないし、面倒臭いと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も以前はお風呂が面倒臭くて、ずっとシャワーのみで済ましてた時があります。
私の場合、シャワーのみの生活で痛い目を見て、そこで初めて入浴の重要さに気付きました。
(下記記事参照)
忙しい現代人には毎日入浴する時間を確保するのは難しいかもしれません。
ただ入浴する時間は身体の疲れをとる時間であり、大切な時間です。
なので疲れのピークがきやすい水曜日や木曜日を入浴の日にするのはアリかなと思います。
身体の疲れと相談して、上手くお風呂を活用しましょう!
まとめ:入浴の必要性
仕事がスマホやパソコン一つで解決するような時代なので、昔に比べまぎれもなくデスクワークが増えています。
当然体を動かす機会も減って、イスに座ってる時間が長くなっていることでしょう。
そして長時間座りっぱなしでいることで全身の血流が悪くなり、代謝機能が低下するなどの悪影響があると言われています。
そんなデスクワークを避けられない時代だからこそ入浴のメリットが活きてくる時代だと私は思い、現代人に入浴は必要と考えています。
時間の大切さだけでなく、入浴の大切さにも目を向けて欲しいと願うばかりです。
最後までお読みいただきありがとうございます。最後にこの記事を作成するにあたって参考にした著書を記載して締めたいと思います。
・早坂信哉『最高の入浴法』大和書房(2019年)
・早坂信哉,古谷暢基『入浴検定公式テキスト』日本入浴協会(2017年)
・小林弘幸『医者が教える小林式お風呂健康法』ダイヤモンド社(2019年)
・小林弘幸『眠れなくなるほど面白い自律神経の話』日本文芸社(2021年)
・西野精治『スタンフォード式最高の睡眠』サンマーク出版(2017年)
自律神経研究の第一人者でもある小林弘幸氏の書籍を、私はかなり参考にさせてもらってます。
非常に読みやすい構成で、解説も分かりやすいです。
これから癒しや自律神経について学びたい人にはオススメです。