前回では入浴のメリットや効果についてお話しましたが、今回は具体的にどのうようにお風呂に入れば疲労回復・熟睡できるのかを解説していきたいと思います。
ちなみに間違ったお風呂の入り方をしていると、寝付けなくなったり、余計に疲れてしまったりとデメリットがあるのが恐いところです。
なので正しい知識を身につけて、入浴のメリットを最大限に活かしましょう!
正しいお風呂の入り方で得られるメリット
前回のおさらいになりますが、お風呂の正しい入り方で得られるメリットや効果を簡潔にまとめました。
- 温熱作用・静水圧作用により血液の流れが良くなり、疲労回復効果に期待できる。
- 浮力作用により筋肉や関節を休ませ体全体の緊張をほぐし、肉体的なリラックス効果に期待できる。
- 自律神経のスイッチを副交感神経(癒しの神経)優位の状態に切り替え、心身のリラックス効果に期待できる。
- 入浴後、副交感神経優位の状態を維持することで心地よい睡眠につながる。
メリットについての詳細を知りたい方は下記の記事をご覧ください。
何のためにお風呂に入るのか?入浴のメリット・デメリットをまとめてみたいつ入浴するのがよいのか?
実は入浴するタイミングはいつでもいいという訳ではありません。
ではどのタイミングがよいのでしょうか?
夕食後最低でも1時間以上空けてから入浴するのが望ましいです。
というのも入浴により血液が体表に集まることで胃腸の血液循環が悪くなり、胃液の分泌・胃腸の運動が止まると言われてます。
そのため消化不良が起きないように、食後最低でも1時間は休憩してから入浴するのが望ましいです。
ただ食べる量・消化時間は人によって違うから、時間が許すなら2時間くらい空けておいた方がよいでしょう。
適切なお湯の温度は?
熱いお湯の方が気持ち良いと感じるかと多いと思いますが、入浴時のお湯の温度は38~40℃と少しぬるめの湯が望ましいです。
温熱作用を考慮すると熱いお湯の方がいいのではと疑問に思うかもしれません。
ただ自律神経のことを考慮すると熱いお湯はオススメできません。
というのも42℃以上の湯舟に浸かると、交感神経(闘争神経)優位の状態となり、筋肉が緊張してしまいリラックス効果に期待できないからです。
また興奮状態のためなかなか眠りにつけなかったり、眠りが浅かったりするというデメリットもあります。
眠気を覚ましたい人にはいいんですけどね。
38~40℃のぬるま湯に浸かることで、副交感神経(癒しの神経)優位の状態に切り替えることこそがこの温度設定の最大の目的です。
適切なお湯の水位は?
全身浴で肩まで浸かるくらいの水位があれば十分です。
半身浴よりも全身浴の方が温熱作用・静水圧作用・浮力作用の効果が高いので、疲労回復を第一に考えているなら全身浴をオススメします。
ある書籍には「半身浴の方が副交感神経を高めるのに効果的」と載っていたので実践してみました。
私の場合、半身浴だと肩辺りが寒く感じ、くしゃみが止まらなかったです。
特に冬場の半身浴は風邪をひきそうになるので、お風呂のフタを首元辺りまで閉じた状態で半身浴するのがベターかと思います。
ただし高血圧の方、心臓や呼吸器に疾患がある方は、静水圧作用などにより負荷がかかるため半身浴の方が望ましいです。
適切な入浴時間は?
入浴時間は15分が望ましいです。
ただ人によっては15分だと長くてのぼせてしまう方もいらっしゃるので、まずは無理せず10分くらいを目安に始めてみるのがいいかと思います。
我慢してのぼせや息苦しさで体調を崩してしまっては本末転倒ですからね。
あまり意識してる人は少ないかと思いますが、入浴時間も大切な項目です。
入浴時間が短すぎると体が温まりきらず温熱作用の効果が弱いのは理解できるかと思います。
では入浴時間が長すぎてもダメなのでしょうか?
長風呂のデメリット
長風呂は体の芯まで温まって良さそうなイメージはありますが、意外にもデメリットが多いのも事実です。
「のぼせ」や「湯疲れ」という言葉もあるくらいですからね。
ではどんなデメリットがあるのか、下記に挙げてみました。
- 入浴熱中症(のぼせ)を起こす
- 脱水症状を起こす
- 長時間の静水圧作用により心臓・肺など身体に負担がかかる
- 1~3の影響により、入浴後に疲れやだるさを感じる
- 肌が乾燥しやすくなる
1~4については何となく理解してもらえるかと思いますが、5については疑問に思う方もいらっしゃると思うので簡単に説明します。
お湯に浸かると肌が水分を吸収して、潤ってると勘違いしてしまいがちです。
一時的には潤うみたいですが、お湯に浸かってるうちに肌に潤いをもたせてる「皮脂」や「セラミド(天然保湿オイル)」が流失してしまうのです。
それにより長時間湯舟に浸かってると、肌が乾燥しやすくなるのです。
入浴時間を管理するアイテム
きっちり正しい入浴時間にするためにスマホのタイマーを使用するのもいいのです。
個人的には防水仕様でないスマホをお風呂まで持ち込みたくないので代わりにあるアイテムを使用してます。
それが上記の「防水機能付きタイマー(ドリテック製)」です。
1年以上お風呂で使用してますが全く問題ありません。
磁石で壁にくっつくし、いちいちスマホをお風呂へ持込まなくて済むので重宝してます。
価格は900~1,300円くらいなので、入浴時間の重要さとスマホを持ち込む手間を考えたら買って損はないアイテムです。
色の種類もグリーンやピンクなどの可愛い色合いのものもあります。
入浴中は何をするとよいのか?
入浴中に関しては、リラックスしてるのであれば特に何をしても構いません。
音楽を聴くのもいいですし、鼻歌まじりでストレッチするのもいいですし、本を読んだりするのもいいでしょう。
私自身は、音楽を聴きながら、ゆったりとした深く長い呼吸をしたり、たまに歌ったりしています。
あとはホットタオルを目にかぶせてボーッとしたり、表情筋トレーニングなんかもしたりしてお風呂タイムを満喫してます。
補足ですが、興奮して交感神経を刺激するようなものはNGです!
特にゲームやスポーツなどついついスマホ画面に釘付けになるようなものは避けましょう。
ちなみにスマホの光は目や脳に刺激を与えるので、入浴中や入浴以降でスマホを見ること自体あまりオススメしません。
入浴後いつ寝るのがよいのか?
実は入浴には睡眠の質をアップさせる効果があります!
そのためにまず入浴で自律神経を副交感神経優位の状態に切り替えました。
交感神経優位の興奮状態ではうまく眠りにつけませんからね。
そして入浴後1時間~2時間くらいに寝るのが熟睡する秘訣となります。
良質な睡眠をとるためには上手に体温を下げていくことが大切なようで、逆に体温が高いままではなかなか眠りにつけないとされています。
入浴によって上昇した体温が入浴後約1時間半くらいで急速に下がり、そのタイミングで寝ると熟睡できるというメカニズムから上記の時間設定となります。
熟睡するために入浴で体を温めることがいかに重要であることを痛感させれますね。
注意点としては体内時計が正常(いつも通り)であることが大前提です!
要は不規則な生活をしていては入浴の力だけで熟睡するのは難しいということです。
つまり毎日の寝る時間・起きる時間をある程度一定の時間にしてるからこそ入浴の力を借りて熟睡に辿り着けるということなのです。
疲労回復・熟睡するための入浴方法まとめ
疲労回復・熟睡するための入浴のポイントをまとめると下記になります。
- 夕食後1時間以上空けてから入浴
- お湯の温度は38~40℃
- 肩までしっかり浸かる全身浴
- 入浴時間は15分(無理なら最低10分)
- 入浴後1~2時間くらいに寝る
以上のことを意識して入浴することで、日頃の疲れも取れてぐっすり眠れることでしょう。
また入浴の際に炭酸系入浴剤を用いると、より効果が得られるのでオススメですよ!
最後までお読みいただきありがとうございます。最後に記事を作成するにあたって参考にした著書を記載して締めたいと思います。
・早坂信哉『最高の入浴法』大和書房(2019年)
・早坂信哉,古谷暢基『入浴検定公式テキスト』日本入浴協会(2017年)
・小林弘幸『医者が教える小林式お風呂健康法』ダイヤモンド社(2019年)
・小林弘幸『眠れなくなるほど面白い自律神経の話』日本文芸社(2021年)
・西野精治『スタンフォード式最高の睡眠』サンマーク出版(2017年)